K-1 WORLD GP 2007決勝

シュルトの三連覇で幕を閉じた今年のK-1
シュルトと対戦したベテラン勢、バンナやアーツが怪我に泣いたのは残念。
では各試合の感想を。


・準々決勝第一試合
ジェロム・レ・バンナ○vs●チェ・ホンマン(判定3-0)
2Rでバンナがスタミナ切れになり、やばいかなと思ったら3Rで根性を見せてくれました。
バンナはパワーがありすぎるのでスタミナが切れやすいけれど回復力も早いようで、いつもラウンドインターバルが明けると意外と動けるようになります。
ホンマンは3Rでガス欠になり、パンチをかなり食らっていました。
スタミナ切れのホンマンの放つ駄々っ子のような手打ちのトンカチパンチには呆れました。
やっぱり追いつめられるとテクニックを忘れてしまう「ただデカいから強いだけ」の選手の域を脱していないですね。


・準々決勝第二試合
セーム・シュルト○vs●グラウベ・フェイトーザ(判定3-0)
この大会で唯一シュルトがダウン寸前まで追いつめられた試合。
グラウベのブラジリアンキックがシュルトの顔面をとらえた瞬間の「パシンッ!」という音は凄かった。
ただ、グラウベがそこで決めきれなかったのが残念。


・準々決勝第三試合
バダ・ハリ●vs○レミー・ボンヤスキー(判定0-3)
ここ一番でバダ・ハリの若さが出てしまったか。
あまり見所のないまま3R9分間が過ぎ、結果はレミーの判定勝利。
バダ・ハリレミーに対するDis*1が話題を呼んだこの対決。
でもバダ・ハリは「俺がK-1をビッグにする」とも言っているし、「レミーはニセモノのチャンピオン」というセリフもK-1を愛するがゆえの発言だと思う。
実際、レミーK-1ボブ・サップやら曙やらで視聴率を稼ごうとして実力主義から離れた時期*2の王者。
バダ・ハリの発言は、K-1ファンの意見を代弁しているだけだと思う。


・準々決勝第四試合
ピーター・アーツ○vs●澤屋敷純一(1R KO)
アーツ強い!
これまで格上相手との試合でも必ず結果を出してきた澤屋敷ですが、アーツには文字通り粉砕されてしまいました。
アーツの調子の良さは開幕戦でも感じていましたが、澤屋敷を圧倒しましたね。
澤屋敷はまだまだこれからだし、来年はまず武蔵を倒してほしいです。
ただ、ああいうKOのされ方を見ていると、パンチドランカーが心配になります。
第二の佐竹雅昭にはなってほしくない*3


・準決勝第一試合
ジェロム・レ・バンナ●vs○セーム・シュルト(2R TKO)
1R終盤にシュルトのヒザ蹴りがヒットするも、バンナはなんとか持ちこたえてラウンド終了のゴング。
「さあ、これからだ!」というところでバンナのヒザの爆弾が暴発し、無念のタオル投入。
「今年こそバンナに栄冠を!」というファンの願いもむなしく、TKO負けとなりました。
それにしても藤原紀香が応援する(優勝候補に推す)選手はことごとく負けますな。
佐藤ルミナマイク・ベルナルドミルコ・クロコップなどなど、紀香のジンクスにハマった選手は枚挙にいとまがありません。
そういえば陣内智則もTV出演が減ってる……?
もう紀香はバンナを応援すんな!


・準決勝第二試合
レミー・ボンヤスキー●vs○ピーター・アーツ(判定0-3)
なにげに初対決のこの二人。
レミーは2004年のグランプリでホーストに超僅差の(疑惑の?)判定で勝利しているわけですが、思えばその頃から「ニセモノのチャンピオン」というイメージが出来はじめたと言えます。
そういう意味で、アーツ戦はまさに汚名返上のチャンスでした。
しかし結論から言えば、やっぱりレミーは「ニセモノ」決定ですね。
いったいどういう作戦でアーツに勝とうとしていたのでしょうか?
まさか澤屋敷の勝利を予想していたわけでもあるまいし、アーツに対するあの無策ぶりはちょっと気になりました。


・決勝戦
セーム・シュルト○vs●ピーター・アーツ(1R KO)
ワンマッチでならアーツが判定で勝利したこともあるこの顔合わせ。
アーツがシュルトの三連覇を阻むとしたら出来すぎなドラマだとは思いましたが。
シュルトのストレートを受けたアーツがなぜか右膝から崩れてそのままKOとなってしまいました。
やはりベテランは怪我に苦しみますね。
ちょっと残念な終わり方でした。


ところでTV放送のなかったオープニングマッチでは、元プロ野球選手の立川隆史が初のKO勝利を飾ったり、あのマイティ・モーポール・スロウィンスキーにKOされたりしています。
ダイジェストでいいから放送してほしかった。


シュルトエメリヤーエンコ・ヒョードルへのリベンジなんかもブチあげているようですが、それだったら“世界最強のオタク”ジョシュ・バーネットにもリベンジしないとね。
ゴリラとの対決とかいう見出しが踊っていますが、これがボブ・サップK-1復帰の伏線だったりしたらイヤだなあ。

*1:「Disrespect」の略で「侮辱する」という意味のHIPHOP用語。バダ・ハリのDisを聞いたレミーは「殺すとかなんとか、まるでラッパーの言うこと。だったらラップやってればいいんだ」と発言。元銀行マンらしい率直な感想。

*2:通称・谷川モンスター路線。

*3:佐竹雅昭の自伝「まっすぐに蹴る」によれば、佐竹はなんと1993年の時点でパンチドランカー症状に苦しんでいたという。93年と言えばK-1GPが始まった年。つまり僕らの知る格闘家・佐竹雅昭のキャリアのほとんどはパンチドランカーになって以降のものだったということになります。この事実を知ったときは、フグやベルナルドにあっさりKOされる姿を見て「佐竹、よえー!」とか言っていた自分を恥じたモノです。