ちょいと忙しかった日々と『ドルアーガの塔』

しばらくバタバタしてまして、ちょっと更新が滞ってました。
原稿書いたり、文学フリマに行ったり、格闘技見たりしてました。


近頃はあれですね、アニメは『マクロスF』と『ドルアーガの塔 〜the Aegis of URUK〜』が面白いですな。
マクロスF』はある意味、超安牌なのでともかく、『ドルアーガ』はやってくれますよ。
シリーズ構成・脚本が『フルメタル・パニック!』の賀東招二さん。
まず第一話がかなり挑戦的な内容でしたね。
知り合いにはこの第一話を見て「ないわ」と切り捨てた人もいますが、私は肯定派です(切り捨てた人の気持ちもわかります。それについては後述)。


ドルアーガの塔』第一話*1はほぼ全編主人公が気絶中に見た夢、という初回エピソードにあるまじきものです。
しかもその夢というのが、「主人公が超人的活躍をして魔物をばったばったとなぎ倒す。出てくる女キャラはみんな主人公に惚れる。脇役は勝手に死にフラグを立てて死んでいく」という非常にフザけた*2内容なわけです。
特に、お姫様と主人公が恋に落ちて
 姫「私を置いていかないで!」
 主人公「僕には使命があります。この戦いが終わったら結婚しよう!」
というくだりの後に、脇役たちが
「俺、この戦いが終わったら故郷に帰って結婚するんだ」→魔物登場→「ここは俺にまかせて行けー!」→
というステレオタイプな展開が起きるというのはかなり皮肉めいたものがあります。
主人公にとってはなんともないのに、脇役にとっては「結婚」は死にフラグ、というわけです。


とどのつまり『ドルアーガの塔』第一話は、楽屋オチ的な笑いに終始しています。
これを見て「ないわ」という人の気持ちはわからないでもありません。
おそらく理由は二つです。

  1. この第一話ではこれがどういうアニメなのかも、先の展開もまったくわからない。よって見続けるのは不安。
  2. このアニメは、アニメファンを馬鹿にしている。

特に2に関して言えば、「夢オチかよ!」という部分にその理由があるのでは、おそらくないです。
「どこか遠くの知らない街に二人で逃げましょう!」とか「俺、故郷に帰ったら結婚するんだ」みたいな言葉で恋愛フラグや死にフラグを提示し、その通りの展開が起きるというお約束自体を笑い飛ばしている『ドルアーガの塔』第一話は、「どーせ、おまえらはこういうモンを見て喜んでんだろ?」とアニメファンを笑い飛ばしている、そういう風に読み取ることもできるということなのです。


そういう意味で、『ドルアーガの塔』第一話は非常に挑戦的でした。
ただ、これは製作者にとっては諸刃の剣のように思えます。
第二話以降はひとまずファンタジー世界での冒険物語が進行しています。
もしこのままクライマックスを迎えたとして「主人公とヒロインのラブシーン」や「脇役の死」といったお約束=物語的に避けては通れない展開に直面した時、ありがちな描写に終始すれば今度は製作者が視聴者から「どーせおまえらはこういうモンしか作れないんだな」と笑い飛ばされることになるからです。
まあOPアニメを見ると、最終的にファンタジー世界の物語をブレイクスルーして終わらせる可能性が示されています*3が、果たしてどうなるのか?
楽しみに見続けたいと思います。
私は個人的にはオススメです。
第一話を見ても不快に感じないアニメ者なら、ぜひ!

*1:TV放送版の「表1話」とGyaO放送版の「裏1話」がありますが、ここでは「表1話」の話をします。

*2:褒めてます。

*3:ドルアーガの塔』のオープニングは主要キャラクターたちが現実の世界で(つまり非ファンタジーの世界で)、朝目覚めてトーストをかじりながら通学電車に乗ったりする様子が描かれます。これもまた、第一話を見る視聴者を混乱させた大きな原因でした。